ビタミンB3

働き

ビタミンB3は「ナイアシン」と呼ばれるほうが一般的です。
ニコチン酸とニコチン酸アミドを総称してナイアシン・ビタミンB3とも言いますが、このニコチンはあの有名なタバコのニコチンとはまったくの別物です。

主な働きはエネルギーの生成です。
人間が生きるために必要なエネルギーは三大栄養素と呼ばれる「たんぱく質、糖質、脂質」から作られますが、ビタミンB3は三大栄養素からエネルギーを作るために不可欠な存在です。



次に注目すべき働きは、アルコール分解能力です。
お酒を飲み体内に入ったアルコールはアセトアルデヒドと呼ばれる物質へと分解されます。このアセトアルデヒドが厄介なヤツでして、吐き気や呼吸促拍などを起こし、二日酔いの主原因として考えられています。
アセトアルデヒドを上手に代謝できれば二日酔いの地獄から解放されるわけですが・・・
ビタミンB3はアセトアルデヒドを分解するときに使用されます。

なのでアルコール摂取量が多くなればなるほど体はビタミンB3不足になってしまい、アセトアルデヒドを分解する能力が追いつかなくなり、体内にアセトアルデヒドが溜まってしまい・・・二日酔いとなってしまいます。



2次的効果となりますが、脂質を効率的にエネルギーに変換する作用により、コレステロールを減らしたり、血液中の中性脂肪も減らすことになりますので、血液がサラサラになったり血管が拡張して血流改善の作用もあります。


不足すると

ビタミンB3が欠乏するとペラグラ、下痢、皮膚炎などの症状が現れます。
注意するべき症状はペラグラです。
あまり聞きなれない病気かもしれませんが、軽視してはいけない病気です。

ペラグラの原因はビタミンB3の欠乏から発症します。
トウモロコシを主食としていたイタリアで流行した病気ですが、日本においてはアルコール依存症でちゃんとした食事をしていない人が発症しやすいようです。
ろくに食事をせずに酒ばっか飲んでいる人が危ない!ということです。

ペラグラの症状は、光線過敏症から始まります。
日の光を浴びると皮膚が隆起し、赤くなったり、水疱や蕁麻疹が現れます。
顔にも左右対称の発疹ができます。

次の段階に行くと消化器官がやられていきます。
下痢止めが効かない下痢になり、吐き気・嘔吐が起こり口内炎も発生します。

更に深刻になると精神状態にまで影響が出てきます。
疲労、不眠などになり、それが影響して脳の機能が低下し、幻覚や錯乱症状が発生します。

そして・・・死にいたる場合もあります。


ビタミンB3はこんな人におすすめ

現代の日本の食文化を考えれば、ビタミンB3が欠乏することは考え難いですが、それでもアルコールを頻繁に摂取するひとはビタミンB3が大量に必要になるので積極的に摂取したほうが良いでしょう。


過剰摂取によるリスク

ビタミンB3は糖尿病患者への治療薬として大量投与されることがあります。
これはビタミンB3が糖尿病の鍵になるインスリンという物質へ大きく影響するためなのですが、これが健康の人場合、インスリンの働きを妨害してしまって血糖値を下げられなくなってしまうということになってしまうので注意が必要です。

また、大量摂取によって軽度の皮膚発赤症状がおこりますが、これは一過性のものなので健康上の悪影響はほぼありません。

一日の摂取目安量

成人男性:14〜17mgNE
成人女性:12〜13mgNE


単位の「NE」はナイアシン等量というもので、ナイアシンの摂取基準単位です。


おすすめ食品(100グラムあたり)

動物性では
たらこ(49.5mg)
まぐろ(20.7mg)
明太子(19.9mg)
カツオ(19.0mg)

植物性では
落花生(17.0mg)
干ししいたけ(16.8mg)
まいたけ(9.1mg)


ビタミンB3は肉、魚などに多く含まれています。